2017年12月20日水曜日

柔道整復師の療養費不正、再発防止へ 県内団体、厚労省の動き進む

自賠責の不正請求の影響は大きいですね。


昨年末、山形市の接骨院経営者による多額の保険金詐欺事件が摘発され、関係者に衝撃を与えた。全国で柔道整復師による療養費の不正請求が問題視される中、県内の業界団体は再発防止に動いた。厚生労働省は柔整師の養成カリキュラムを見直したほか、健康保険を取り扱う際には実務経験などを義務付ける方針だ。柔整師の質、職業倫理を高める動きが進んでいる。

接骨院では、骨折や捻挫、打撲などの外傷には健康保険を使えるが、腰痛や肩こりなどの慢性疾患は保険対象外だ。東北厚生局山形事務所によると、不正請求には、通院日数の水増しや、慢性疾患を外傷の施術に装って請求するケースなどがあるという。

山形市の事件は柔整師が交通事故患者と共謀して通院日数を水増しした。交通事故のけがには自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)が適用される。柔整師は施術費を、患者は慰謝料をそれぞれ保険会社から詐取。患者30人超が関与し、被害額は3千万円を超えた。

逮捕された柔整師が所属していた公益社団法人県柔道整復師会は事件後、会長と保険部長が県内各ブロックを回って注意喚起したほか、再発防止へ向けた講習会も開いた。

別の団体に所属する県北部の柔整師は不正に対して「個人のモラルの問題だ。怒りしか覚えない」と憤る。この柔整師の団体は毎年、弁護士らを交えた研修を行い、適切な保険請求について学んでいるという。

柔整師には、患者が自己負担分を支払い、残りの費用を患者に代わって保険者に請求する「受領委任払い制度」が認められている。厚労省社会保障審議会の専門委員会は今年3月、この請求に携わる「施術管理者」になる場合、数年間の実務経験や研修を義務付ける報告書をまとめた。

また厚労省は柔整師養成施設のカリキュラムを大幅に見直し、卒業に必要な単位を現行の85から99に引き上げた。新たに職業倫理や社会保障制度を学ぶ時間が設けられる。

全国で相次ぐ不正の背景には、接骨院急増による過当競争があるといわれる。厚労省の統計によると、2006年に324カ所だった県内の柔道整復の施術所は、16年に364カ所まで増えている。県内のある柔整師は「過当競争は山形にも当てはまる。患者が1日10人以下の接骨院も結構ある」と話す。「需要と供給のバランスが崩れている。これからは淘汰(とうた)が進む時代になる」と推測している。

引用元:山形新聞

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