2016年11月18日金曜日

「身を切る改革」が聞いてあきれる元維新市議の末路 整骨院で施術でっち上げ、地元に残る〝ほぐせぬシコリ〟

長文です。


経営していた整骨院で療養費をだまし取ったとして、元大阪維新の会所属の大阪府池田市議で整骨院運営会社元社長、羽田達也容疑者(37)が10月、大阪府警に逮捕された。羽田容疑者は逮捕前の取材に対し、ともに逮捕された同社社長、増田誠容疑者(37)らに責任を押しつけるような弁明を繰り返していたが、実態は本人が患者役となって不正を主導していた。昨春の市議選で「身を切る改革」を訴え、大阪維新の会から出馬して初当選。疑惑発覚直後に離党したとはいえ、起訴されても進退を明らかにしない姿勢に、池田市議会は11月に入って議員辞職勧告決議を全会一致で可決した。支持者からは「期待していたのに信じられへん」と落胆の声も上がっており、地元に芽生えた「不信」のしこりは当面、ほぐせそうにない。
「ハッチ」「まこっちゃん」
「もっと数字を上げろ」
池田市にある傘下の介護事業所の一室で毎月末に開かれていた幹部会の席上。集まった傘下の府内6カ所の整骨院長らを前に、当時整骨院運営会社「ときはる総研」の幹部だった増田容疑者がこう語ると、まだ市議に当選する前で社長だった羽田容疑者は傍らで黙って見守っていた。
捜査関係者によると、増田容疑者は、傘下の整骨院長らに「レセプト(診療報酬明細書)の日数はできるだけ記載しろ」「家族とか信頼できるやつの保険証を集めてこい」などと具体的な指示を与える〝汚れ役〟だったとみられる。増田容疑者の上に立つ羽田容疑者が真の指示役だった。
羽田容疑者は逮捕前の取材に「誰かが情報をまいて私を潰そうとしている」と持論を展開。「(不正受給を)しているなら今の代表ではないか。私が代表を務めていたときは不正受給した事実はない」と、すべての罪を増田容疑者になすりつけようとしていた。
関係者によると、2人は高校時代の同級生で、「ハッチ」「まこっちゃん」と呼び合うなど、固い信頼関係で結びついていたとみられる。増田容疑者は逮捕後も羽田容疑者をかばい続けていたといい、ある捜査幹部は「市議に累が及ばないよう覚悟していた節もある」と明かす。
「重い荷物で…」自らウソ重ね
事件をめぐっては、府警が今年4月、交通事故の保険金約80万円を詐取した疑いで、運営会社現社長の増田容疑者と元院長の男(34)を逮捕。さらに府警は、市議に当選した翌月の昨年5月まで運営会社の社長を務めていた羽田容疑者も、不正に関わった疑いがあるとみて水面下で捜査を進めていた。
そして半年後の10月6日、傘下の整骨院で療養費をだまし取ったとして、詐欺容疑で増田容疑者を再逮捕するとともに、羽田容疑者の逮捕に踏み切った。
府警などによると、羽田容疑者がまだ社長だった平成23年12月から約2年半、大阪府摂津市の「スマイル整骨院」(今年2月に閉院)で、羽田容疑者自らが患者役になって健康保険が適用される施術を受けたと偽り、療養費を繰り返し不正請求。全国健康保険協会大阪支部から約71万円をだまし取ったとされる。
手口はお世辞にも〝巧妙〟とは言えない内容だった。羽田容疑者が「重い荷物を持って腰や股関節を捻挫した」などと偽り、実に自分一人で600回以上も施術を受けたとでっち上げていたとみられる。
ツッコミ必至のけが理由
府警は11月に入ると、同じ整骨院を舞台に療養費約160万円をだまし取ったとして2人を再逮捕した。
手口は患者役が増田容疑者に代わっただけ。容疑対象以外を含め、今年4月までの約6年間に約1500回分もの施術を偽って不正請求するという悪質極まりない内容だった。患者役の増田容疑者が、1回の施術で3カ所ほどに痛みがあると申告。1カ所が治ると別の部位に症状が現れるといった具合で、最終的に患部は手首や膝関節など延べ約40カ所にも及んでいた。
しかも、療養費の支給申請書に記されたけがの理由は、「詐欺師」と呼ぶにはほど遠いものだった。
「野球で変化球を投げようとして右肩を捻挫した」「温泉で滑って転んだ」「布団から出ようとして立ったときにバランスを崩して転倒した」
こんないいかげんな理由を並べたて、1人の人物にかかった療養費として約160万円もせしめていたのだ。もちろん、府警としては、ほぼ全てが虚偽だったとみている。
「警察から逃げ切った」
羽田容疑者は、昨年4月の池田市議選で「身を切る改革」をスローガンにしている大阪維新の会から立候補、4位の2288票を獲得して初当選を果たした。
一連の不正疑惑は26年5月、柔道整復師の関係団体からの指摘で浮上していた。隠蔽を図る目的だったのか、傘下の整骨院は次々と閉鎖していったが、府警は今年4月、交通事故の保険金詐欺事件で増田容疑者らを逮捕した。
その直後、羽田容疑者は大阪維新の会を離党。以降、説明責任を果たさないまま、ほとんど議会に姿を現すこともなかった。
羽田容疑者自身にすぐに捜査の手が伸びることもなく、保険金詐欺事件が一段落した際には、周囲に「証拠はすべて破棄した。警察から逃げ切った」と伝える余裕も見せていたという。
羽田容疑者は10月末に起訴されても議会側に一切連絡を寄越しておらず、市議会は11月7日の臨時会で、羽田容疑者に対する辞職勧告決議を全会一致で可決した。
羽田容疑者がもともと所属していた大阪維新の会の石田隆史市議は議場で、「公人としてふさわしい人物だと見抜けなかった」と謝罪。「高い倫理性を持つべき議員が市民への信頼を失墜させたことは誠に遺憾」とし、「(関与の疑いが浮上した)4月以降の行動にも誠意が見受けられず、議員として、社会人として疑問を持たざるを得ない」と断罪した。

羽田容疑者を支持していたという地元電気店の男性店主(53)は、「選挙前に一生懸命挨拶回りをしていたから応援したのに、当選したら一度も挨拶に来ない。態度もえらそうなものに変わった」と批判した。
引用元:産経WEST

0 件のコメント:

コメントを投稿