2017年5月27日土曜日

交通事故の治療費詐欺、バイト感覚 全国で多発、目を光らせる保険業界@福井新聞

少しボリュームのある記事ですが、是非ご確認下さい。


交通事故による治療費名目の保険金を保険会社に水増し請求するなどしたとして、福井県敦賀市の男性柔道整復師らが詐欺容疑などで逮捕された事件で、関与した3被告の判決公判が24日までに福井地裁であり、全員に有罪判決が言い渡された。通院日数を実際より多くする今回の手口のほか、自動車保険などを悪用した詐欺は全国で多発しており、「福井県内も氷山の一角」との声が上がる。不正請求対策に力を入れている保険業界は、事件摘発が抑止力になればと期待している。

「書類を作成するなど犯行に必要不可欠で重要な役割を積極的に果たした。強い非難は免れない」

24日、福井地裁で柔道整復師(57)に懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡した熊谷大輔裁判官はこう断じた。
判決などによると柔道整復師は2016年6~10月、交通事故に遭った5人の治療費を保険会社に水増し請求し、保険金をだまし取った。このうち1人は1日しか治療していないのに、通院日数を55日と偽っていた。だまし取られた保険金は合計約187万円にも上る。

熊谷裁判官は「共犯者間で水増しした通院日を連絡し合うなど計画的で巧妙、悪質。保険業の適正な運用に与えた悪影響も軽視できない」と指摘。柔道整復師は姿勢を正し、耳を傾けていた。

「正直ドキッとした」。過去に保険金詐欺に手を染めた県内の30代男性は福井新聞の取材に対し、敦賀の逮捕記事を新聞で見つけたときの心境を語った。

10年以上前、腰を痛めるけがをしたときのことだ。友人から紹介された「いい医院」で、「犯罪の片棒を担いでしまった」という。

通院したのは週1、2回だったにもかかわらず、毎日通院したことになっている診断書を出され、保険金を請求した。院長からは▽旅行などで県外に出ていた日はなかったか▽終日会議の日はなかったか-などを聞かれた。「まさにアリバイ工作。手慣れていて初めてじゃないと感じた」と振り返る。

本人も罪悪感は薄く「バイト感覚だった」。

日本損害保険協会は2013年、「不正請求ホットライン」を開設し、情報収集に努めている。通報件数は13年度の約280件から年々増加し、16年度は700件(速報値)に達した。車の盗難を偽ったり、2人で自動車事故を偽装したりする事例があるという。実名を知らせる通報も少なくなく、その契約者から請求があったときには、不審な点がないか厳しく目を光らせる。

不正請求を見過ごすことは保険会社の損益に関わり、長期的には保険料アップにつながる悪影響も懸念される。

損保協会北陸支部の長崎達事務局長は「あらゆる不正は断固排除するという毅然(きぜん)とした態度が重要」と各県の保険会社に繰り返し啓発しているという。

業界関係者の間で「敦賀の事件は氷山の一角」とみる向きは強い。ある関係者は「今回の事件を聞いて背筋が凍る思いをしている人間がいるのではないか。長期通院による保険金の請求申請が急に止まった例もある」と打ち明けた

引用元:福井新聞

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